「また私?」職場の雑務にモヤる女性たちの本音

職場の雑用 職場の人間関係
職場の雑用

名もなき雑務」という言葉を耳にしたことがあるだろうか。
職場において、誰もが当たり前のようにこなす仕事だが、その重要性はなかなか認識されない仕事がたくさんある。
例えば、「お茶出し」「電話取り」「おみやげ配り」「社内便受け取り・配布」「給湯室の掃除」「コピー取り」など、
これらはすべて一見、単純で目立たない仕事だが、職場が円滑に運営されるためには欠かせない業務である。
しかし、こうした仕事がなぜか女性に偏って担われることが多い現実がある。

これらの「名もなき雑務」に従事している女性たちが、最近ではその不公平さに声を上げ始めている。
「これでいいのか!」と、彼女たちは疑問を投げかけ、改善を求めるようになってきている。
その背景には、長年にわたる職場の慣習や性別役割分担が影響しているのだろう。
この現象を見過ごすことなく、現代の職場における「名もなき雑務」の役割、そしてそれに対する女性たちの反応を深掘りしてみよう。

「名もなき雑務」の実態

まずは、職場でよく見られる「名もなき雑務」を具体的に挙げてみよう。
それらは確かに目立たず、評価されることは少ないが、実際には職場を円滑に運営するために非常に重要な役割を果たしている。

お茶出し

多くの職場では、会議や来客時にお茶を出すことが求められる。
この作業は一見、単純なもののように思えるかもしれないが、実は会社の印象や関係者の気持ちを左右する重要な仕事である。
お茶を出すタイミングや温度、種類など、細かい配慮が必要とされることも多い。
しかし、これを「雑務」として扱われ、よく女性社員が担当することが多い。

電話取り

電話が鳴れば、すぐに誰かが対応しなければならない。
これも単純に思えるが、電話応対のマナーや、対応の速さ、正確さが求められる重要な仕事である。
電話応対は第一印象を与えるため、非常に大切な仕事だが、これもまた女性社員に偏って担当されることが多い。

おみやげ配り

出張や旅行に行った社員が戻ったときに、おみやげを配るという習慣がある職場も多い。
これも一見、余暇のように思えるが、実際には職場内での人間関係を円滑に保つために欠かせない役割を果たしている。
そして、実際にお土産を買った社員は自分では配らずに、「これお土産だからみんなでどうぞ。」と言って渡すことも多いだろう。これもまた女性の若手社員に頼むことが多い。

社内便の受け取り・配布

社内のメールや便りを受け取り、それを各部署に配布するという業務も存在する。
簡単な仕事に思えるしれないが、正確に配布されなければ情報の伝達が滞り、業務に支障をきたす可能性がある。
社長宛の機密書類を新卒に開封させたり、郵便受けを確認を怠って、契約書類の受取りが遅れたことで大事になっているのを見たことがある。
しかし、そんな業務も往々にして女性社員が担当することが多い。
しかも、大した仕事だと思われていない。

給湯室の掃除

職場における給湯室は、社員がちょっとした休憩を取る場所でもあり、衛生的に保たれるべき場所である。
しかし、掃除の負担もまた、女性社員に偏ることが多い。
なぜなら、給湯室の掃除は「細かい仕事」として、女性がやるべきことと見なされる傾向があるからだ。

コピー取り

コピー機の使用は多くの業務に欠かせないが、そのコピーを取る作業も「雑務」として軽視されがちである。
しかし、コピーを正確に取ることができないと、重要な資料が失われたり、業務に支障をきたすことになる。
また、コピー用紙がうまく動かないとき、「ちょっと誰か確認して~」と叫んでる社員がいる時。 
まわりの様子を伺いながら、結局立ち上がるのは女性が多いように思う。

なぜ「名もなき雑務」は女性に偏るのか?

では、なぜこれらの「名もなき雑務」は女性に偏って担当されるのであろうか。
現代では、「女性より男性の方が仕事ができる」というあからさまな男性優位・女性軽視ではなく、別の理由がある。

伝統的な性別役割分担

歴史的に見て、家事や育児などの家庭内労働は、女性の役割とされてきた。 
これが職場にも影響を与え、女性は「細やかな気配り」や「調整役」など、サポート的な仕事を担うべきだという考え方が根強く残っている。 
お茶出しや電話取り、掃除といった仕事が女性に押し付けられるのは、このような伝統的な性別役割分担に基づいているからだ。

女性の「気配り」への期待

また、女性が担当するべき「名もなき雑務」には、一般的に「気配り」や「もてなし」が求められる。 
これもまた、社会的に女性に期待される役割の一つとされてきた。
例えば、お茶出しや電話取りといった仕事は、「相手の気持ちを汲み取る」ことが重要とされ、女性がその役割を担うべきだという偏見が存在する。

特別なサービスであるかのように思っている?

「女性がやった方が華がある」「男がやるより、女性にお願いしたほうが場が和む」といった空気が、職場の中でなんとなく漂っていることがある。
コーヒーをいれてもらう、お土産を配ってもらう——それだけで、どこか“特別なサービス”を受けているかのように感じてしまう男性も少なくない。
女性の笑顔や所作に、無意識のうちに心地よさや癒し、さらには少しの“色気”を期待しているような空気すらある。
自分のためにお願いするのは、さすがにためらう男性も多いが、「お客様にお茶をだして。」「お菓子買ってきたから、みんなに配って。」には、
「若い女性がやってくれた方が相手が喜ぶから」といった、”気持ちの悪い気配り”があるのだ。

職場文化と慣習

職場内で長年続いている慣習も、女性が「雑務」を担当する原因となっていることが多い。
例えば、男性社員がより重要な業務に集中し、女性社員が「雑務」をこなすという分業の慣習が根付いている場合、これを変えることは簡単ではない。
しかし、このような文化は現代の職場環境において見直されるべきだという意識が広がってきている。

女性たちの反応とホンネ

男女平等を求める意識が高まる中で、女性たちは職場での不平等な待遇に対して強い反感を抱くようになった。
これまで男性が行っていた重要な業務を、女性が担うことが当たり前なってきている職場で、
名もなき雑用だけは、いまだに女性たちがやっているケースが多い。
そんな環境で、女性たちは、実際どう感じているだろうか。

小さな雑用が生む大きな格差

女性たちは、「名もなき雑務」に、彼女たちのキャリアがどれほど悪影響を与えているかを認識し始めている。
雑務が多さで他の業務をする時間が減り、キャリアアップの妨げになっているというだけではない。
雑用を任されることで、社内での立ち位置は自然と低くなり、自他ともに「軽視されている」と無意識に感じるようになる。
営業成績などの数字だけで測れない職種であれば、社内でのイメージや評判もキャリアアップに大きく関係するだろう。
雑用を見事にこなしたことで、「あの人は会社に大きく貢献している」と評価できる立派なひとはどれぐらいいるだろうか。
しかし、それば断るほどでもない「小さなこと」であるために、女性たちは、一旦我慢して引き受けてしまうのだ。

たかが雑用で、労働環境の改善なんてと・・・と思う社員はそこに気付いていないのだ。
どうせやってもらうなら得意そうな人やってもらいたい。頼む側からしたらそれはそうだろう。
頼んだ側は、それを「小さなこと」と思い、しかも誰かのためによかれと思ってやっているが、
頼まれた女性からすると、お茶出しやコピーなどの行為自体ではなく、
「自分だけがやらされる背景・影響」について考えるのである。

雑用を断ることのマイナス評価

「雑用をやらないひと」「頼みづらいひと」でいることは、職場の人間関係を揺るがすリスクも含んでいる。
逆に、「雑用を引き受けるひと」「頼みやすいひと」は、職場で重宝され、好かれる存在になりやすいのだ。
しかし、そんなひとがいざ声をあげ、名もなき雑務から距離を置こうとすると、
「最近やる気ない」「感じが悪くなった」「偉くなったものだ」などと思われることもある。
頑張っていたことすら、なかったことのように扱われるのだ。
結局、黙って引き受け続ける方が“楽”だと感じてしまう構造がある。
そして、黙って引き受けるひとがいることによって、「雑用をやらないひと」「頼みづらいひと」がまた嫌われていくのである。

男性からだけではない!女性間で起こりうる問題

「名もなき雑用」を頼んでくるのは男性だけではない。
女性同士の間でも、
「私たちの方が得意かも」「やっぱり女性がやった方が印象がいい」「若いうちは仕方ないか」
といった共感のもと、役割が固定されてしまうケースもある。
さらに、「私も若い時やってたから」なんて女性から頼まれると、さすがに嫌とは言えない。
また、頼まれる側も「断ると気まずい」「自分がやった方が早い」と思って引き受けてしまうため、
結果的に誰もその状況に異議を唱えないまま続いてしまう。
断れない自分にも苛立ちを感じる。

まとめ

「名もなき雑務」がなぜ女性に偏ってしまうのか、その原因には長年にわたる性別役割分担や職場文化が影響している。
しかし、現代の職場では、男女平等の意識が高まる中で、これらの不平等が見直されるべきだという声も多く上がっている。
最近では、女性たちの声が注目され、実際に職場内での「名もなき雑務」の分担が見直されつつあるケースも増えている。
実際に、男性社員が積極的に雑務を分担するようになったり、女性たちが本来の業務に集中できるような環境を作るための取り組みが進められている。

女性たちが自分たちの声を上げることで、職場環境の改善が進み、より公平で効率的な業務の分担が実現することが期待される。
しかし、女性たちが自ら声をあげなくとも、
すべての社員が平等に扱われたうえで、「名もなき雑務」に対する評価を適正に行ってほしいものだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました