会社における「評価」は、社員にとって重要なテーマです。昇進や昇給だけでなく、日々の仕事のモチベーションにも大きく影響します。
評価を左右するのは誰なのか、人事部がどのような役割を果たしているのかについて、誤解している人も少なくありません。
多くの人は「人事部が評価を決めている」と思いがちですが、実はそうではありません。
人事部は、あくまで会社の方針や制度に基づき、評価基準を整備したり、公正性を保つための調整役を担っています。
そして何より、人事部の大切な役割の一つは、社員の「相談役」として機能することです。職場環境の改善やキャリアプランの相談など、社員一人ひとりが持つ悩みをサポートする立場にあるのです。
評価を決定する主役は、現場で一緒に働く「上司」や「同僚」と言えます。小規模な会社では、「社長」の独断で評価が決まることも少なくないでしょう。
本稿では、評価がどのように決まり、評価を上げるためには何をすれば良いのか、さらには評価されない時の対処法について具体的に解説していきます。
あなたの評価は、どうやって決まるのか?
まず、あなたの評価がどのように決まるのか、その仕組みを知ることが重要です。
人事評価の8割は「上司」で決まる
職場での評価の大部分は、日々あなたの仕事ぶりを見ている直属の上司によって決まります。
上司は、あなたの成果やプロセス、態度を総合的に判断し、評価を下します。
そのため、上司との関係や信頼構築が評価に大きな影響を及ぼすのは言うまでもありません。
「まわりの評判」が「上司の評価」を覆すこともある
ただし、上司の評価がすべてではありません。
職場の同僚や他部署の人々からの「評判」も、評価に少なからず影響を与えます。
特に、周囲からの信頼や協力を得られない場合、その評判が上司の評価を覆すこともあります。
そんなことある?と思われがちですが、評価する側の上司は「評価の仕方」によって自分自身の評価が決まるのです。
自分も評価の対象である限り、周りから反感を買うような評価の仕方はできません。
評価する上司が社長である場合も、社員の信頼を勝ち取るためには公平な評価が必要になります。
また、もともといい評価を受けていた人は、周囲から高く評価される行動を取ることで、上司の信頼をさらに強固なものにすることができます。
「評価」の高い人がやっていること
高い評価を得る人には、共通した特徴や行動があります。
評価されるためには、何を基準に評価されるのかを知ることが不可欠です。
多くの会社では、業績や成果だけでなく、チームへの貢献度、コミュニケーション能力、そしてリーダーシップなどが評価の対象となります。
これらを意識した行動を取ることが、評価を上げる第一歩です。
ここでは、例えば、約束を守る、誠実に対応する、そして感情をコントロールするなど、基本的なマナーではなく、
「誰でもできるが意外とやっていない評価を上げる行動」を10つ紹介していきいます。
簡単なことなのに意外とやっている人は少ないので、少しでも評価をあげたい人は必ず試してください。
評価をしている人は誰か意識する
評価をあげたいということは、「昇進」「昇給」したいということですよね。
であれば、まずは、評価者である「上司」「社長」を常に意識して、丁寧な態度で接しましょう。
当たり前のことですが、やりすぎて悪いことはありません。
まわりのひと全員に最高に親切にしていては、ただの八方美人です。
評価してくれる上司の信頼を勝ち取るには、常に「一番は上司」ということを念頭に置いておきましょう。
ドラマなどでも、部下がみんなで上司の悪口を言っているなんて場面はよくありますよね。
実際も、上司が嫌われることは珍しくありませんが、不用意に上司を敵にまわすのは絶対に避けましょう。
呼ばれたらすぐ行く
上司に呼ばれたらすぐ立ち上がっていますか?
上司も人間です。誰もが横柄というわけではないでしょう。
「お手隙でちょっといい?」「手空いたらお願いできる?」と譲歩してくれる上司も多いはず。
そのときに、「じゃあ手が空いたら」なんて思っていませんか?
上司は、今話したいから話しかけてきたのです。すぐに聞きにいった方がいいに決まってます。
今やっている仕事が、たとえば調理中で時間を計っているとかでなく、
メールを作成中だからといった一旦止められる仕事にも関わらず、上司を後まわしにしていませんか?
すぐに「はい!」と返事をし、駆け寄るふりなんて誰でもできることです。
小さなことですが、業務時間中に仕事をすぐにやる部下、素直で従順な部下であることで不利なことはないでしょう。
ペンとメモは常に手に持つ
上司から話をされているとき、メモをとっていますか?
私は社会人経験が10年以上ですが、何か頼み事をされているときはペンとメモをしっかり持っています。
そんなこと覚えられるというような簡単なことはメモをとりませんが、手に持っているのはしっかりアピールします。
実際、長く同じ仕事をしているとメモをとりながら仕事を教わる必要はないのですが、
細かい指示が出たときのために、いつも持っているという私を演出しているのです。
上司側は、手ぶらできた部下に対しては「大丈夫か?」と思いながら話しているかもしれません。
メモをとっている、またはメモをとれる状態であれば、安心して指示を出せるでしょう。
不安を持ちながら指示を出す部下と、安心して指示を出せる部下であれば、どちらの方が評価が高くなるかは一目瞭然です。
自分から距離を縮める努力をする
なんでも○○ハラスメントになる現代、上司だって話す内容に気を遣っているはずです。
部下が、「仕事以外の話はしません」「プライベートなことに口を挟まないでください」という態度では、コミュニケーションはとりづらいでしょう。
友達のようになりましょうということでありませんが、
距離を縮められるのは、実は部下からでないと難しい時代なのです。
成績が同じぐらいの2人がいた場合は仲良い部下の方が可愛いでしょう。
仲良くなりすぎるデメリットは確かにありますが、程よい距離で仲良くするのはやって損はないのでしょうか。
上司が困っていたら、とりあえず声をかけてみる
上司が困っているとき、すぐに声をかけていますか?
上司だって何でも部下より長けているというわけではありません。
モノが見つからないときや、たくさんの荷物を一度に持てないとき、新しいシステムの動作がわからないとき等あるでしょう。
上司が困っているときより、後輩が困っているときの方が手を差し伸べているなんてことはありませんか。
後輩や自分の部下が困っているときは責任感で声をかけている人は多いはず。
上司だと、上から教えているみたいにならないかと不安になるかもしれませんが、
日頃からコミュニケーションをとっていれば、そもそもそんなことは気にならないはず。
後輩に親切にするのも大切かもしれませんが、誰が自分の評価をしているかを忘れていてはなりません。
そのオシャレ本当に必要?
高校生の頃は、生活指導の先生に反抗してまでスカートを短くしたり茶髪にしたりしてました。
でも、大人になった今も社会人のギリギリを攻めようしてませんか?
オフィスカジュアルというものが曖昧であり、すぐに注意してくれる人がいないことも多いです。
しかし、無難なファッションでいる社員の方が、上司は安心していい評価を出せるはずです。
週5日の服装なのでこだわりたい気持ちはわかります。
かといって、会社に来るだけでなんでそんな挑戦する必要はないと思うのです。
仕事後に予定があるのならば、着替えの服を持ってくればいいのではないでしょうか。
個人の感覚によるところなので難しいですが、「評価されたい」が先行するのであれば、
オシャレがものを言う業界でないのであれば大人しくしているに越したことはないです。
なんでもかんでも大声で話さない
「話すときは、テキパキと大声で」と馬鹿の一つ覚えのように思っていませんか?
確かに間違えではありません。
しかし、いつでも何の話題でもではありませんよね。
上司の悪口や下品な話題だけではありません。
自分が何かを強く主張したとき、聞こえている誰かは不快に思っているかもしれないということを忘れてはいけないのです。
例えば、「○○がテレビに出ていたけど、私すごい嫌いで」「昨日○○に行ってきたけど、絶対住みたくない街だった」という話題です。
社内で、その芸能人が好きな上司、その街出身の上司はいませんか?
そんなこと言ったら何も話せなくなると思うかもしれません。
しかし、必要以上の大きい声で必要以上の主張や相手への同意は、果たして社内で必要でしょうか。
私は、社歴が長く、社員全員の面接をしています。その私から言わせてもらうと、そういう場面はかなり多いです。
「中国人がレジを割り込んできた話」を女子社員同士で話してい声が響いているなか、
端っこの席で静かにしている部長が中国人のハーフであることを私は知っているのです。
ポジティブな話題は元気に大きな声で、ネガティブな話題は小さな声でが出来れば一番いいですね。
「反対意見は大歓迎」に注意
「意見があれば聞きます。どんどん出して、みんなでよりよい方法を模索しましょう」
こんなことを言っている上司や、社長ってよくいませんか?
積極的に意見を出すような意欲的な部下は、いい評価をもらえるかもしれません。
本当にそれがいい意見であれば、会社のためにも、自分の業務効率化のためにもなり、同僚からは評価を受けるかもしれません。
しかし、上司がもともと反対意見であり、部下の意見が通ったことにより上司の業務量が増えていたりしたら?
残念ながら、上司の意見に賛成し、手助けをしてくれる部下の方が可愛いですよね。
本当に必要ならば、もちろん意見を曲げずに突き通すべきです。
しかし、どちらでもいいけど、上司の案より私の案の方が・・・という程度で上司を論破しようとしていませんか。
「いい意見をもっている」と自分の有能さを見せつけるより、「賛同しますよ」といった方が上司からの評価は高くなる場合の方が多いと思います。
なぜなら、上司の「最善」の意見を「最善」であるという認識を持っているのですから。
能ある鷹は爪を隠すのです。
給与担当者の行動をチェックする
これは、給与担当者が評価をしているからではありません。
あくまで最終評価は、上司や社長がしているでしょう。
しかし、給与担当者は、誰が本当に評価されいるかを唯一知っている社員です。
しかもそれを、社内の人には教えられずに、自分だけの情報として隠し持っているのです。
たしかに歩合や役職で給与が決定している会社は、上司の仕事の仕方を真似すればいいかと思います。
しかし、実際私が勤めている会社では、年齢や社歴、経験、引き抜き等で役職は高いけれども・・・・ということがあります。
マネジメントはできないかもしれないが、別の部分で仕事のできる若手社員をしっかり評価し、給与をあげているということがあるのです。
人間関係や、責任の所在、円滑な業務のために役職を置いているが、実は給与は後輩とそこまで大差ないなんてことも。
会社は、辞めてほしくない社員にはそれなりに給与を支給します。
そういうところで給与担当は、本当は誰が重宝されているのかわかってしまうのです。
この会社で、どんな人が本当は評価されるのか。それを知っている給与担当者の行動は要チェックです。
社内に特定の仲良しをつくらない
味方をすべき人が上司のほかにできてしまうことが厄介です。
上司と社内の友人の意見が割れており、自分が本当は友人と同意見であることを知られている場合、
上司に賛同することは難しくなるでしょう。
また、濃厚な人間関係が、評価の足を引っ張ることはよくあります。
例えば、自分より出来ない社内の友達とよく一緒に仕事をしていると、
その仕事を直接手伝っていなくても、「ひとかたまり」に見えるのです。
そして、いい人間関係が壊れないようにと、ひとりを昇進させることを避けるということも実はよくあるのです。
浅く広く、みんなと程よい距離間でいることが一番いいのです。
それでも評価されないあなたへ
努力を重ねても評価されない場合は、考え方や行動を見直すタイミングかもしれません。
会社にしがみつく意識を捨てましょう
評価されない環境に固執し続けることが、必ずしも最善の選択ではありません。時には、自分に合った環境を求めて新しい職場に飛び込む勇気が必要です。転職はリスクと思われがちですが、長期的に見ると大きなチャンスとなることもあります。
「ピンチはチャンス」と考えてみましょう
評価されない現状を嘆くのではなく、自分を成長させる機会と捉えましょう。
評価が低い原因を分析し、改善策を実行することで、周囲からの信頼を取り戻せる可能性があります。また、新しいスキルを身につけるなど、自分自身の市場価値を高める努力も有効です。
まとめ
人事評価は、職場での成長とキャリアアップにおいて避けては通れない重要なテーマです。
しかし、それを完全にコントロールすることはできません。
本稿で述べたように、評価は上司や周囲の評判によって左右される部分が大きいため、日々の行動や態度が結果に直結します。
高い評価を得るためには、まず自分が評価基準を理解し、それに基づいて行動することが重要です。
そして、周囲との良好な関係を築き、信頼を得る努力を怠らないことが大切です。
それでも評価されない場合は、環境や自分の選択肢を見直すことで、より良いキャリアを切り開くチャンスに変えることができます。
あなたの努力が報われるよう、この記事が少しでも役立てば幸いです。
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