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転職活動をした経験がある方で、面接で「退職理由は?」という質問に困ったことはありませんか?
この質問にどう答えるかで、あなたの印象が大きく左右されます。
退職理由がネガティブでも、前向きに伝える方法を知っていれば、面接官にポジティブな印象を与えることができます。
今回は、退職理由をうまく伝えるためのつのポイントをご紹介します。
これを参考にして、次の面接は自信を持って退職理由を答えましょう。
企業側が退職理由を聞くワケ5つ
面接で退職理由を質問するのは、企業が応募者の適性や価値観を判断し、採用のリスクを最小限にするためです。
採用は企業にとって大きな投資であるため、採用後のミスマッチや早期退職を防ぐために、退職理由から以下のポイントを確認しています。
①応募者の価値観を知るため
企業は応募者が何を重視して働いているのか、職場にどのような期待を持っているのかを知りたいと考えています。退職理由を通じて、その価値観が自社の文化や方針と合っているかを見極めます。
企業が注目するポイント
• 仕事で何を重視しているのか(例:キャリアアップ、働きやすさ、挑戦の機会)。
• 職場環境や人間関係に対する考え方。
②問題解決能力を確認するため
過去の職場で何か問題があった場合、それをどのように解決しようとしたのか、また退職をどのように決断したのかを見ることで、応募者の問題解決能力や判断力を確認します。
企業が注目するポイント
• 問題が発生した際にどう対応したのか。
• 短絡的に退職を選んでいないか。
• 問題が起きた際にすぐに辞めてしまうのではないか。
• 自分で解決せず、職場に依存していたのではないか。
③職務適性や安定性を判断するため
退職理由を聞くことで、応募者がどの程度仕事に適応できる人材なのか、また新しい職場で長く働く意欲があるのかを見極めています。
企業が注目するポイント
• 応募者が新しい環境で安定して働けるか。
• 前職とのミスマッチがどの程度だったのか。
④自社とマッチするか確認するため
前職の退職理由が自社でも起き得る問題に関連している場合、応募者が再び同じ理由で辞めてしまうリスクを避けたいと考えます。
企業が注目するポイント
• 前職の退職理由がどのような状況だったのか。
• 自社の環境でも同じ問題が発生しないか。
• 「上司とのコミュニケーションが理由で退職」→自社の組織文化に適応できるか?
• 「残業が多かった」→自社の業務量に対応できるか?
⑤応募者の正直さや信頼性を確認するため
退職理由があまりにも曖昧だったり、嘘っぽかったりすると、企業は応募者の誠実さを疑います。
具体的かつ納得できる退職理由を伝えることで、信頼性を高めることができます。
企業が注目するポイント
• 応募者が正直で誠実に答えているか。
• 話に矛盾がないか。
退職理由を聞かれた際に好印象を与えるポイント5つ【具体例】
退職理由を聞かれる際、以下のポイントを意識すると、企業に良い印象を与えられます。
・ネガティブな内容をポジティブに言い換える
「次のステップに進むための挑戦」といったポジティブな表現を心がける。
前職や上司への不満を避け、キャリアアップや自己成長に焦点を当てた回答をする。
・メンタルヘルスや健康状態に関する退職理由はなるべく避ける
全快し仕事に影響ないのであれば、会社に伝える義務はない。
・簡潔だがありきたりにならないように答える
長々と話さず、要点を簡潔にまとめることで、説得力を持たせる。
退職理由を正しく伝えることで、企業に自分の意欲や適性をアピールし、好印象を残すことができます。
それでは、詳しく説明していきます。
パワハラ・残業・給与問題をポジティブに言い換える
面接官に好印象を与えるためには、退職理由や転職理由が前向きであることを強調しましょう。
直接的に「嫌だったこと」を述べるのではなく、自分が成長を目指して次のステージを選んだという形に言い換えることが重要です。
面接で退職理由を話す際、前職や上司への批判はなるべく避けるべきです。
たとえ本音ではネガティブな理由だったとしても、それをそのまま伝えると「問題を外部に押し付ける人」「環境に不満を持ちやすい人」という印象を与え、採用担当者に悪い印象を与える可能性があります。
特に、「パワハラ」「長時間労働(残業)」「給料」に関する退職理由はデリケートな話題なので、慎重にポジティブに言い換えましょう。
①パワハラ、人間関係に関する退職理由の言い換え例
パワハラや人間関係が退職理由である場合、批判的に話すと「問題を解決せずに辞めてしまう人」「周囲と衝突しやすい人」と誤解される可能性があります。
自ら退職理由がパワハラ、人間関係であるということは言わない方がいいでしょう。
しかし、面接官から人間関係について聞かれた場合、個別の事例や感情的な部分に触れず、自分のキャリアや成長にフォーカスして言い換えましょう。
具体例1
NG「上司からのパワハラに耐えられず、心身ともに限界でした。」
OK「前職では厳しい上司のもと業務をしておりましたが、より円滑なコミュニケーションが図れれば、チームでの成果が上がったのではないかと思います。しかし、そのためには、厳しい指導を受ける必要のないよう、個人の成長が先だと考えております。」
具体例2
NG「上司からの理不尽な指示が多く、仕事が非効率でした。」
OK「前職では業務フローの改善に取り組みましたが、全体の仕組みが複雑に絡み合っており、部分的な改善が難しい状況でした。これを通じて、効率的な業務を実現するためには柔軟に変化を取り入れられる環境が必要だと実感しました。今後は、時代の変化に適応しながら、業務の効率化や改善に積極的に取り組める環境で、自分のスキルを活かしていきたいと考えています。」
具体例3
NG「同僚と意見が合わず、やりづらかった。」
OK「前職では、業務が進行する中で意見交換の場が十分に確保されない場面がありました。この経験を通じて、多様な視点や意見を取り入れることの重要性を改めて実感しました。今後は、活発なコミュニケーションを通じて新しいアイデアを生み出せる環境で力を発揮したいと考えています。」
②残業や長時間労働に関する退職理由の言い換え例
長時間労働が退職理由の場合、そのまま話すと「体力や精神的な耐久力が低い」と見られる可能性があります。
これを回避するために、効率的な働き方やキャリアアップの目標に話をつなげましょう。
また、残業していた事実があるのであれば、具体的な数字や、なぜ残業をしなければならなかったのかを伝えるとよいでしょう。
また現在、平均的な残業時間は22時間程度といわれております。
少なくとも残業時間が平均より少ない場合などは、「残業はしていたが、もっと効率的にできる環境があるはず」という話につなげると良いでしょう。
具体例1
NG「毎日終電まで残業していて、生活がまったく充実しなかった。」
OK「前職では、チーム全員が毎月60時間以上の残業を半年間しておりました。今後は業務効率を重視しながら、成果を出せる環境でさらなる挑戦をしたいと考えました。」
具体例2
NG「残業が多すぎて、体力的に限界でした。」
OK「睡眠時間が確保できる健康的な生活が、仕事での成長につながると考えています。働き方を見直すことで、より力をできる環境を目指したいです。」
③給料や待遇に関する退職理由の言い換え例
給料が理由の場合、単純に「給料が低い」と話すと、お金だけが目的の人と見なされる可能性があります。
これを避けるために、スキルやキャリアアップと絡めて説明しましょう。
伝え方のポイント
①具体的な批判内容を避ける
前職の具体的な問題点(例:上司の名前や社内文化の詳細)に触れると、ネガティブな印象が強まります。
②自分の意欲や成長を中心に話す
転職の目的が「現状から逃げること」ではなく、「より良い環境で自分を高めること」であると伝えましょう。
③感情的にならない
過去のネガティブな体験を話す際は、冷静にポジティブな言葉で言い換えることが重要です。
批判的な内容を避けつつ、自分の価値観や目標を明確にすることで、面接官に「この人と一緒に働きたい」と思わせる回答ができます。
具体例1
NG「給料が低くて、モチベーションが上がりませんでした。」
OK「これまでに培ったスキルをさらに活かし、成果を正当に評価していただける環境で挑戦したいと考えました。」
具体例2:
NG「昇給がなく、生活が苦しかったです。」
OK「自分の成長が収入面でも反映される環境で、さらなる成長を目指したいと考えました。」
具体例3:
NG「労働量に対して給料が見合っていませんでした。」
OK 「自分の努力や成果を試せる環境で、長期的にキャリアを築きたいと思いました。」
メンタルヘルスや健康状態についての話はなるべく避ける
メンタルヘルスや健康状態に関する退職理由は、面接の場では出来る限り避けるべきです。
たとえこれが正直な理由であったとしても、採用担当者には「この人を採用すると問題が発生するのではないか」と懸念を抱かれるリスクがあります。
そのため、健康問題を退職理由に挙げる場合は、別のポジティブな表現に変換して伝えることが重要です。
なぜ避けるべきなのか・・・・
①採用担当者に「長期的に働けるのか」と疑問を持たれる。
②メンタルヘルスの話題は、個人的な問題と捉えられ、評価を左右する可能性がある。
③問題解決能力やストレス耐性に欠ける印象を与えるリスクがある。
休職期間がある場合や、怪我をしてこれまでと同じ職種に就けないことが転職理由である場合など、健康問題に関する理由を正直に伝えるべき場合もあるでしょう。
必要以上に具体的な症状や事情を説明する必要はありません。
下記のポイントをおさえ、慎重に伝えましょう。
伝え方のポイント
①回復を強調する
健康が原因で退職した場合は、現在の体調が回復しており、問題なく働けることを伝えましょう。
例「以前は体調を崩すことがありましたが、現在はしっかり回復しており、問題なく働ける状態です。」
②ポジティブな未来を描く
転職先での目標や意欲を前向きに語ることで、過去の健康問題を払拭できます。
例:「現在は健康を維持しながら仕事に取り組むための生活リズムが整い、新しい環境で挑戦する準備ができています。」
③詳細は話さない
メンタルヘルスや健康状態についての具体的な内容を詳細に話すと、話題がネガティブになりがちです。
面接では「未来志向の考え方」に焦点を当てることが重要です。
現在の状況と転職への意欲をしっかり伝えることで、採用担当者に安心感を与えることができます。
具体例1
NG「ストレスで体調を崩し、仕事を続けられなくなった。」
OK「これまでの業務で多くのことを学びましたが、自分にとって最適な働き方を模索する中で、新たな環境に挑戦したいと考えました。夜勤のない環境で働くことで、長期的にキャリアを積みたいです。」
具体例2
NG「体調不良で入院することが増え、働き続けるのが難しかった。」
OK「一度自身の健康管理を見直すことで、より効率的に働ける環境を求めるようになりました。休職期間を経て、今の万全になった状態で、これまで培った経験をもとに最大限の挑戦をしたいと考えております。」
具体例3
NG 「職場のプレッシャーが強すぎて、うつ病になった」
OK「働き方を見直し、より最適な環境を求めてはいますが、御社に入社した際には、〇〇を目指したいと考えておりますので、挑戦には多少の困難はつきものであると考えております。」
簡潔だがありきたりにならないように答える
面接官にとって最も重要なのは、応募者の話が分かりやすく、納得できるかどうかです。
退職理由を答える際には、長々と話さず、簡潔かつ具体的に述べましょう。回答を組み立てる際には、以下の3ステップが役立ちます。
回答の組み立て方の3ステップ
ステップ1 現職での経験や成果を簡単に述べる。
ステップ2 なぜその環境では限界があるのか、ポジティブに説明する。
ステップ3 転職後の目標やビジョンを明確に伝える。
具体例1
「現職では法人営業を担当し、年間売上目標を3年連続で達成しました。ただ、より専門性の高い分野で営業スキルを磨きたいと考え、御社で新たな挑戦をしたいと思いました。」
具体例2
「現職では経理業務全般を担当し、教育責任者をしておりましたが、IT技術を活用した業務効率化に興味を持つようになりました。御社でのデジタル化推進の取り組みに貢献したいと考えています。」
具体例3
「これまで製品企画に携わり、前年と比べ売上200%を達成しました。しかし、よりグローバルな市場での企画経験を積みたいと考え、海外展開に積極的な御社を志望しました。」
志望動機と一貫性を持たせる
転職理由が志望動機とつながっていることを示すことで、より納得感のある回答ができます。
特に、退職理由を話した後に「だからこそ御社を志望しました」と結びつけることで、話に一貫性を持たせることが重要です。
具体例1
「現職では営業職として実績を積んできましたが、よりマーケティングに力を入れている御社で、新しいスキルを学びたいと考えました。」
具体例2
「これまで製造業での生産管理に携わってきましたが、御社のようにIoTを活用している企業で、効率化にさらに貢献したいと考えました。」
具体例3
「前職では小規模なチームで働いていましたが、御社のような大規模プロジェクトに参加し、多くの人と協力して成果を上げる経験を積みたいです。」
自己分析を深める
退職理由を説明する際には、自分自身のキャリアビジョンや目標を明確にすることが重要です。
そのために、以下のポイントを自己分析に役立ててください。
自己分析のポイント
①自分がこれまでに成し遂げた成果は何か?
②どのような環境で最もやる気を感じるか?
③10年後、どのようなキャリアを築きたいか?
具体例1
「これまでに携わったプロジェクトでは、期限内に業務を完遂する力を発揮しました。今後はより複雑な課題に挑み、プロジェクト全体をリードできる人材を目指します。」
具体例2
「人と関わることが得意で、営業職で多くの契約を獲得しました。今後はそのスキルを活かして、より広い市場で顧客基盤を拡大したいです。」
具体例3
「現職では個人での成果が重視されていましたが、チーム全体で協力して目標を達成する環境に魅力を感じています。」
実践するための練習方法
①模擬面接で練習する
家族や友人に面接官役を頼み、質問への回答を繰り返し練習する。
他人から質問されることで、用意していった回答を実際に自分の言葉にする練習ができるでしょう。
質問の仕方や順番など、想定していない角度でロールプレイすることは大切です。
②録音して確認する
自分の声を録音し、回答がスムーズかつ分かりやすいかをチェックする。
意外と自分で思っているよりも、低く小さい声で話しているものですよ。
③自分の経験を基に例題を活用する
紹介した例題を自分の経験に合うようにアレンジする。
そのときに、言い方を変えるだけで絶対ウソはつかないこと。
様々な角度から質問をされたときに話に一貫性がないと、面接官はウソを見破ります。
このように、退職理由を含めた転職理由を具体例を用いてしっかりと準備することで、面接での回答に自信を持つことができます。
まとめ
面接で「退職理由」を問われる際は、単に過去の出来事を説明するだけでなく、ポジティブに未来志向で語ることが重要です。
本記事では、企業が退職理由を聞く背景や、答え方のポイントを具体例とともに解説しました。
退職理由を伝える際の基本は、ネガティブな内容を避け、自分の成長やキャリアアップを中心に話すことです。
また、志望動機と結びつけて一貫性を持たせることで、企業に納得感を与えることができます。
次回の面接では、この記事のポイントを活用して、自信を持って退職理由を伝えましょう。
それが、次のステージへの第一歩です。
転職活動頑張りましょう!
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