目次
職場では、さまざまな年齢やバックグラウンドを持つ人々が共に働きます。
その中でも「年上の後輩」という立場の人と接するのは、多くの人が直面する現代ならではの課題です。
敬語を使うべきか、それともフランクに話すべきか。
適切な距離感や言葉づかいを模索しながら、信頼関係を築く方法を探る必要があります。
本記事では、「年上の後輩」というテーマを軸に、言葉づかいの選択、成功事例や調査結果、
そして実際の職場での具体的な接し方について深掘りしていきます。
この内容を参考に、年齢差にとらわれない円滑なコミュニケーション術を身につけましょう。
職場における年齢の考え方ー実情と背景ー
年上の後輩へは圧倒的に「敬語」!?
マイナビウーマンによると、22~34歳の未婚女性388人を対象に「職場に年上の後輩がいる」かどうかを調査した結果、「職場に年上の後輩がいる」と回答した女性は約3割いることがわかりました。
そして、そのうち年上の後輩に対して83.6%の人が敬語を、16.4%の人がタメ口を使用していることが明らかになっています。
タメ口を選んだ理由としては、「フランクな関係を築きたい」「相手が望んでいた」といった意見が多く見られ、職場での円滑なコミュニケーションを重視する意識が強いことを示しています。
かつては年功序列が当たり前だった日本の職場環境。
一方で、敬語を選んだ人たちは、年功序列という考えだけではないようです。
しかし近年では、成果主義やスキル重視の風潮が強まり、年齢や経験に関係なく役職や立場が決まるケースが増えています。
これにより、年上の後輩が職場で珍しくなくなったのです。
次の章では、年上の後輩が増えた背景から「年上後輩に敬語を使った方がいい場合」について解説します。
年上の後輩が増えた背景
① 転職の一般化
転職が一般化した現代において、新卒から一つの会社に勤め続けることの価値は、昔と比べて変化していると言えます。
かつては終身雇用や年功序列が一般的で、「一つの会社で勤続年数を重ねる」ことが信頼や実績の証とされていました。
しかし、現在ではキャリアアップやスキルの幅を広げるために転職を選ぶ人が増え、職場を移動すること自体がキャリア形成の一環として評価されるようになっています。
②昔と今で異なる「勤続年数」の価値
- 昔の価値観
昔は「一つの会社で長く働く」ことが忠誠心や安定性の象徴とされていました。
長期的な在籍は、その人の人柄や努力、会社への貢献度を示すものとされ、昇進や給与アップの要因にもなっていました。 - 現代の価値観
現在は、勤続年数よりも多様な経験やスキルのほうが評価される傾向があります。
「転職を繰り返す=ネガティブな印象」という考え方は昔と比べると薄れつつあり、むしろ柔軟な適応力や幅広いスキルセットを持つ人材が求められています。
新卒から勤続し続けることの現代の意味の変化
ただし、新卒から勤続していることが全く価値を失ったわけではありません。
以下のような場合には、今でも評価されるポイントがあります。
①専門性を極めたキャリア形成
一つの業界や職種で深い知識や経験を積んだ人は、その専門性が強みとなります。
特に技術職や研究職などでは、「一貫したキャリア」が大きなアピール材料になることもあります。
②会社内での信頼と高いポジション
長期間勤めることで、会社内での信頼関係を築き、重要なポジションに就いているケースもあります。
特にリーダーシップを発揮している場合や経営に携わっている場合は、その勤続が重要な実績とみなされます。
③会社への忠誠心と忍耐力
会社への忠誠心が強く、忍耐力や継続力は信頼に繋がります。どんな困難にも簡単には諦めず、粘り強く取り組む姿勢をアピールできます。
転職市場の広がりがもたらした価値観の変化
転職が当たり前になった背景には、成果主義の導入やグローバル化、IT産業の発展などがあります。
これらの業界では、大学院卒や博士号取得者、さらにはキャリアチェンジをした人々が多く、年齢に幅があることが一般的なっており、柔軟にキャリアを変えながらも自分の市場価値を高める能力が重視されます。
そのため、同じ職場に長くいることが時代に合わないと考えられるケースもあります。
一方で、「新卒からずっと勤め続けている」という経験が評価されるかどうかは、本人がどのような成果を上げているか、どのようにキャリアを活かしているかによるでしょう。
転職が当たり前の時代では、「自分の価値をどう証明できるか」が鍵となっているのです。
実録!職場での成功・失敗事例
年下先輩の目線
①【敬語】先輩34歳/【敬語】後輩37歳
社歴3年目の先輩34歳は、未経験入社の37歳に敬語で話しています。
37歳の後輩は未経験入社だったのでタメ語でもいいかと思いましたが、後輩は3つ年上であり、仕事のスキルがどの程度かは入社当初不明だったので、敬語を選びました。
ここでタメ口で話していたら、「先に入社してるから偉いでしょ?」と言っているように思われると思ったからです。
後輩は、先輩には年齢関係なく敬語を使うべきという古典的なタイプ。
年上であるにも関わらず敬語を使う後輩に、かなり好印象を持ちました。
お互いに敬語を使いあっているため、関係は良好です。
仲良くなるまでに少し時間はかかりましたが、嫌な気分にならずにこれからも上手く関係が続きそうです。
今では飲みの席や雑談中は、お互いタメ口まじりで仲良くやってます。
②【タメ口】先輩24歳/【敬語】後輩28歳
新卒で入った会社で、初めて後輩ができました。
後輩は4つ歳上ですが、入社後しばらくは私が付きっきりで仕事を教えていました。
自分が先輩なので、舐められないようにという思いで敬語は使っていません。
後輩はもちろん敬語で対応してくれています。
昇進を待っていることもあり、このまま上下関係は崩したくないのでこのままの関係でいこうと思っています。
でも年下の後輩と違って、甘えてくれるようなことはないので、なんだか関係はギクシャクしています。
2人で仕事後に飲みに行くことは今後もないでしょう。
③【敬語】先輩26歳/【タメ口】後輩46歳
20歳も歳上の後輩ができてしまいました。
さすがにタメ口を使う気にもなれず、敬語で接しています。
後輩の方は、タメ口で話しかけてきますが、さすがに嫌な気はしません。
社会人経験でいうと大先輩になりますし、学べるところはたくさんあると思ってます。
なによりタメ口で話してくるかと言って、威圧的だったり卑下しているというのではなく、逆に親しみやすく感じています。
私も敬語だからと言って、私は下の立場ですという意味ではないので、問題なくやってます。
④【タメ口】先輩27歳/【タメ口】後輩29歳
2つ歳上の後輩と2人で同じ業務の担当をしています。
後輩は、同じ業種の会社で働いていた経験があるらしく、経験者として入社してきました。
後輩が先にタメ口で話しかけてきましたが、
会社が違えばやり方も変わるのは当たり前なので、私が仕事を教えています。
最初からタメ口でくる後輩にいい印象はなく、私もタメ口で話しています。
まわりから見たら、近い歳の女性社員同士で友人のように見えるかもしれません。
しかし、後輩は何かと前の会社と比較し、改善すべきところを指摘してきます。その度にイライラしています。
経験があるといっても、結局は2年先に入社していた私より仕事ができるわけでもない気がします。
後輩はというと、経験者として入社してきたプライドがあり、歳下のわたしとペアで仕事をするにあたって曲げたくないところがあるのでしょう。
内心お互いバチバチしてると思います。
⑤【敬語】先輩29歳/【タメ口】後輩34歳
歳上の後輩ができ、面倒なことは避けたいので敬語で話しています。
後輩の方は最初からタメ口で、仲良くしてね!といった感じでした。
悪い人ではないのですが、かわいがっている後輩のような接し方をしてくるのは気になります。
入社してまた日が浅いので、定時になったら後輩はあがってもらって、私は間に合っていない仕事をひとり残業で終わらせるという日が続いていました。
1人の方が断然仕事が早く終わるのはわかっていますが、日中は教えながら後輩と一緒に仕事をすすめていました。
しかし、後輩は定時であがるとき、必ず「大丈夫?まだ終わらないの?無理しないで早くあがりなよー!」と笑顔で声をかけてきます。これからひとり残業をするってときに、仕事のできない後輩からのこの言葉はイラッときます。
本人は優しさで言っているつもりなのでしょうが。
年上後輩の目線
①【タメ口】先輩24歳/【敬語】後輩29歳
社会人経験10年目で入社した会社の先輩に、新卒2年目の男の子がいました。
彼はかなり馴れ馴れしく、結婚しないの?など失礼なことを言ってきたり、プライベートも誘ってきたりします。
仕事もできる感じもしなく、私が入社するまで一番下っ端のような存在でした。
私も彼のことをあまり尊敬はしていませんが、逆に敬語を貫いて、距離を縮めないようにしています。
おそらく本人は気付いていませんが、彼に対する敬語には特に意味がないということはまわりの社員は勘づいているかと思います。
②【タメ口】先輩23歳/【敬語】後輩26歳
新卒で入った会社で3年働き、キャリアアップのために同業種の会社に転職しました。
同じ部署には新卒2年目の年下の先輩がいます。
先輩なのは重々承知で、私は敬語を使っていますが、2年目の同僚が上司のような口ぶりで接してくるのはあまり納得がいっていません。
転職が当たり前の現代で、仕事のスキル関係なく社歴だけで上下関係を許していては、円滑に業務が進まない気がしています。
先輩として明らかに上から話してくるので、今から私がタメ口をきくことはできない雰囲気です。
タメ口を使いたいわけではないのですが、相手が間違えていることも反論できない環境はよくないと思っています。
私の方が先に昇進してやろうと頑張ってはいますが、モヤモヤしたまま毎日仕事をするのは辛いです。
年上の後輩へは敬語orタメ口?メリットとデメリット
職場で年上の後輩と接する際に、最初に悩むのが「言葉づかい」です。
年齢的には目上ですが、職場の序列では後輩。
経験値や持っている資格なども上下関係に関係してくるでしょう。
そのため、「敬語を使うべきか」「タメ口で話すべきか」という点で迷うことは自然なことです。
敬語・タメ口のメリット・デメリットをそれぞれご紹介します。
敬語を使うことのメリット
・相手への敬意を示すことができ、良好な第一印象を与えられる
・相手が嫌な気になることはないので、コミュニケーションがスムーズに進む
・自分自身も冷静で丁寧な対応を心がけるようになる
・相手のスキルの高さが不明な段階は、敬語を使っておけば問題になることはない
敬語を使うことのデメリット
・教育や指示出しがしづらくなる場合がある。
・敬語を使い、下手にでたことで、当事者間の上下関係がその通りになってしまう。
・年上後輩のスキルが低かったとしても、年下先輩が敬語を使っていることで、
年下先輩よりスキルが高いのではないかと周りが錯覚してしまう
・外部から見た際の上下関係が逆転していると、人間関係を保つために、
昇格させるのをためらうことがある。
タメ口を使うことのメリット
・教育や指示出しがしやすい
・優位に立っているように見せることで昇格を目指せる可能性がある
・先輩だけど年齢は下ということで、対等であるという意味でお互いタメ口にすることで、
より深いコミュニケーションをとれる場合がある
タメ口を使うことのデメリット
・相手に悪い第一印象を与える場合がある。
・入社時は部下や単なる同僚でも、数か月後には上司になる可能性がある
・威圧的な印象を与えてしまい、当人だけでなく外部からの評価も下がる可能性がある
言葉づかいで信頼関係を築く方法
社歴だけで上下関係を決め、いつまでも入社当初の言葉遣いにこだわっていては、お互い仕事がしずらいでしょう。
入社時期に関わらず、スキルの高さによってコミュニケーションの取り方も変えていくべきではないでしょうか。
お互い尊重し合うことを忘れずにに、変わってゆく関係性に合わせて接し方も変えていっていいと思います。
しかし、資格をとった、特定の仕事ができるようになった、自分のほうが契約を多くとったなど、明らかに自分のスキルのほうが上だと認識したとしても、急に態度に出しては、人間関係が壊れてしまいます。
では、どのように距離を縮めていけばよいのでしょうか。
最初は敬語をベースにした言葉づかいを心がけ、徐々に関係性が深まる中で柔らかい表現を取り入れることがポイントです。
例えば、「ありがとうございます」を「ありがとう」に変えるなど、言葉のトーンを軽くすることで距離感を縮めることができます。
また、上手く敬語の中に紛れ込ませることで、相手を嫌な気持ちにさせずに上下関係を曖昧にすることができるでしょう。
・なるほど
・たしかに
・わかる〜
・なんで?
・どうやって?
・そうかな?
・ありがとう
・すごい!
年上の後輩は年下の先輩にどう対応するべきか
年上の後輩にとっても、年下の先輩と接するのは難しい場面が多いでしょう。
年齢が上であることから、「目上の存在として扱われたい」という気持ちが芽生えることも少なくありません。
年上の後輩が持つ心理的な葛藤
年上の後輩にとって、年下の先輩に指導を受けることは心理的な抵抗を伴うことがあります。
「プライドを傷つけられるのではないか」「自分の立場をどう示すべきか」といった悩みを抱えるケースが多いです。
年下の先輩との信頼構築のポイント
こうした場合でも、年下の先輩を敬意を持って接することが最優先です。
相手の指示を受け入れ、積極的にコミュニケーションを図ることで信頼関係を築くことができます。
職場では「年齢」ではなく「役職」や「責任」に基づいて接することが大切です。
相手が先輩であれば、その指示を素直に受け入れ、自分の意見がある場合はタイミングを見て伝えるのが効果的です。
年上の後輩と良好な関係を築くためには、いくつかの具体的なコツがあります。
①年齢差による摩擦を減らす方法
年齢差を強調しないことが重要です。
「年齢は関係ない」という意識を持ち、業務に集中する姿勢を見せることで、年齢差を気にする必要がなくなります。
②フィードバックの仕方と注意点
年上の後輩に対してフィードバックをする際は、「指導」ではなく「提案」の形を取ると、相手が受け入れやすくなります。
③雑談や休憩時間での接し方
雑談や休憩時間では、仕事の話から少し離れたフランクな会話を心がけることで、関係性が自然に深まります。
まとめ:敬意を持って接するのに「年上」「年下」の区別はない
職場では、年齢ではなく個人の能力や役割を重視する文化を育てることが大切です。
年齢を気にせず、役割に応じた対応をすることで、チーム全体のパフォーマンスが向上します。
また、欧米諸国では、年齢に関係なくフラットな関係性が一般的です。
こうした文化の違いを参考にすることで、新たな視点を得ることができます。
年齢ではなくスキルと成果を評価する未来の働き方
将来的には、年齢や経験年数よりもスキルや成果を重視する働き方がさらに一般化すると予想されます。
たとえば、特定のスキルセットを持つ人が、年齢に関係なくリーダーや重要なポジションを任されるケースが増えるでしょう。
このような環境では、年上の後輩も年下の先輩も、役割に応じて対等な立場で働けることが理想です。
そのためには、すべての社員が「年齢に縛られない価値観」を持つ必要があります。
これは、企業文化を構築する段階から意識されるべきです。
具体的には、スキル開発のための教育制度や、定期的な評価システムを導入することが有効でしょう。
また、欧米諸国では、年齢に関係なくフラットな関係性が一般的です。
こうした文化の違いを参考にすることで、新たな視点を得ることができます。
年上の後輩を活かす職場のコミュニケーション
最後に、年上の後輩とうまく接するためのポイントをまとめます。
- 最初は敬語をベースに話す
年齢や経験に関わらず、敬語で接することでお互いの尊重を示せます。
最初からフランクすぎる態度を取ることは避けるべきです。 - 相手の経験やスキルを尊重する
年上の後輩には、それまでに培ったスキルや経験があることが多いです。
その強みを理解し、活かすような接し方を心がけましょう。 - 職場のルールや役割に基づく態度をとる
年齢に惑わされず、役割や責任に基づいた行動をすることで、
年上・年下の区別を超えた信頼関係が築けます。
良好な関係を築くことで得られるメリット
年上の後輩と良好な関係を築くことで、以下のようなメリットが得られます。
①チームのパフォーマンス向上
年齢に関係なく意見交換がしやすくなり、チーム全体の生産性が上がります。
②職場の雰囲気の改善
フラットでオープンなコミュニケーションが可能になると、職場の雰囲気が良くなります。
③個人の成長機会の拡大
年上の後輩から学ぶことも多く、リーダーとしてのスキルや視野を広げるチャンスにもなります。
結論 後の自分の評価・チーム全体の成果を考える!
年上の後輩が職場にいることは、一見すると接し方が難しいと感じられるかもしれません。
しかし、年齢や経験にとらわれず、「役割」や「スキル」に基づいたコミュニケーションを心がけることで、
より良い関係を築くことができます。
敬語や敬意をベースにしながらも、柔軟な対応をすることで、
お互いにとって居心地の良い職場環境を作り出すことができるでしょう。
職場で年上の後輩と接する際に、最初に悩むのが「言葉づかい」です。
年齢的には目上ですが、職場の序列では後輩。
そのため、「敬語を使うべきか」「タメ口で話すべきか」という点で迷うことは自然なことです。
未来の職場では、年齢ではなく成果や能力が評価される時代が訪れると言われています。
年上の後輩がいる現状をポジティブに受け止め、共に成長できる関係を目指していきましょう。
また、年齢ではなく個人の能力や役割を重視する環境をつくることが大切です。
職場でコミュニケーションにおいて一番重要視すべきことは、
チーム全体のパフォーマンスの向上を目的としたものであるべきです。
個人の感覚は、会社からみたら実際どうでもいいことなのです。
チーム全体の成果は、後に自分の評価に反映されます。
このように、単に、誰がどんな言葉遣いをしているというだけを気にするのではなく、
もっと長期的な視点で物事を捉えることも重要でしょう。
コメント